いじめゼロを目指して

いじめは仲間意識を強める?

いじめは、言うまでもなく、心理学的な要素が絡んだ問題です。

 

「いじめの原因は、学校の勉強や家庭でのストレス」
…いえいえ、そんなに単純なものではありませんよ(笑)
いじめは、実は、「仲間」を作るための手段の一つでもあるんです。

 

例えば、Aという生徒をいじめのターゲットに決めたとします。
そのAを標的に、他の子供たちは団結してあれやこれやと嫌がらせ行為を考え、
みんなでいじめを実行する。

 

すると、そうしているうちに、なんともいえない達成感というか、
“仲間意識”が生まれてきます。
それはまるで、みんなで協力して体育祭や文化祭をやり遂げた時のような…。

 

つまり、心理学的に、
いじめは「仲間意識を強める」という作用があるわけです。

 

また、いじめには、
「人をいじめることによって自分の優越感を強める」
…という心理学的作用もあります。
特に、日頃から親や教師に叱られてばかりで劣等感を感じているような子供は、
いじめという方法によって“他者より強い自分”を確認しようとする傾向があります。

 

このように、いじめに走る理由は様々。
心理学的に見て非常に複雑な問題ですので、
一筋縄では解決できないのです。

 

そのことを、私たち大人は肝に命ずるべきでしょう。

“バランス重視”が根本的な問題?

上述した通り、いじめ行為に走る理由は様々です。

 

加えて、もう一つ補足しておかなければならないのは、
「バランスを重視する感覚」というのもいじめの一因になり得るということです。

 

まず、いじめのターゲットになりやすい子供の特徴を考えてみましょう。
暗いから、良い子ぶっているから、転校生だから、
グズだから、勉強ができないから
勉強ができるから、先生に気に入られているから、帰国子女だから、
もてるから、めだちすぎるから、ブスだから…

 

どうでしょう?何か気付きませんか??

 

そう、全て、「人とは違っている」
という共通する因子を持った子供たちなのです。
心理学的に言われているのは、「この“違い”が大きな不安感を生む」ということ。
「和を持って尊し」とばかりに“バランス”が重視される現代では、
少しでも違う要素を持った人が参入してくると、
その集団内のバランスが崩れてしまいます。

 

特にその子が非常に優秀だった場合には、
みんな一緒のハズだった集団に
「敗者」と「勝者」のヒエラルキーが生まれてしまう!
それを防ぐためには、その新参者をなんとかして排除しなければなりませんよね。
それが、“いじめ”なのです。

 

「一人一人の個性を重視せよ」と言いながら、実際には
個性があることでいじめの標的にされてしまう…。

 

いじめは、現代社会の縮図ですね。

ユング心理学でいじめを分析すると…

別項でもご紹介しましたが、いじめを心理学的に考察する上では
ユング心理学の「 “影(シャドウ)”」の考え方が非常に参考になります。

 

学力不振や家庭環境のトラブル、
自分の中の劣等感などがいじめの原因として指摘されていますが、
要するにいじめとは、自分が認めたくない“影”の要素を
いじめ被害者に投影して行われる加害活動。
自分が恐れている状況や嫌がらせを、
被害者に投影的に加えている行為なのです。

 

被害者に対して投影される“劣等感”、
それは、簡単に言うと
「集団の中に居場所がなくなること」でしょう。
他人の視線や評価を意識し続けるあまり、
他人から否定されること、無視されること、
拒絶されることを過度に恐れているのです。

 

だからこそ、ある意味“身代わり”としていじめ被害者をターゲットにする。
そして、スケープゴート(犠牲の山羊)にしてしまうというわけです。

 

そして、周りの人間に対してそうしたスケープゴートを提供することで、
相対的に自分自身の“居場所”を獲得している…。

 

他人を犠牲にしなければ自分の存在意義を確認できないというのは、
精神的な脆弱性の表れ以外の何ものでもありませんよね。
「弱い犬ほどよく吠える」
とはよく言ったもので、
見た目の強さと心理的な面での強さは、必ずしも一致しないのです。

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