いじめゼロを目指して

調査結果から推察できること

文部科学省が行った2012年 4月〜9月のいじめ把握件数調査では、
普通に考えると、「??」と思ってしまうようなちょっと困った問題が浮き彫りになりました。
(おそらくそれは、今に始まったことではないのでしょうが…)

 

それは、自治体によっていじめ問題に対する“温度差”があるということ。
ある自治体ではいじめ問題に対してかなりの精力を傾けているのに対し、
また別の自治体では、それほど深刻な問題として受け止めていない。
このような“意識の差”は、把握件数調査の結果に顕著に表れています。

 

例えば、鹿児島県の把握件数は約30,000件で、
全国把握数144,054件のうちの約2割を占めるという結果になっています。
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その背景には、
「いじめの具体例を示すなどして、答えやすいアンケートを県内で統一して行った」
という独自の取り組みがあり、
いじめ問題に本気で取り組もうという真摯な姿勢が見て取れます。

 

温度差があるのはなぜ?

しかし、なぜ、自治体によって
ここまでいじめ問題に対する温度差が生じてしまうのでしょう。

 

一つには、過去のいじめ事件の発生が影響していると考えられます。

 

例えば、いじめを苦に自殺をした生徒が出て、
全国的な問題としてメディアで取り上げられた自治体は、
2度と同じことを繰り返さないために対策にもナーバスになるでしょう。
実際、いじめ把握件数が最多だった鹿児島県でも、
出水市で中学2年生の女生徒がいじめを苦に自殺をするという事件が発生しています。

 

悲しい事件を繰り返さないために、自治体が一丸となって対策に取り組む。
…その姿勢は確かに評価すべきものでしょう。

 

しかし、被害者遺族からしてみれば、思いは非常に複雑なハズ。

 

「こんなことになる前になんとかして欲しかった」
「いまさら頑張ってもらっても、うちの子は戻ってこないのに…」

 

何かあってから行動するというこの国の悪しき体質は、
なんど過ちを繰り返してもどうにも改善が難しいのかもしれませんが、
せめて、いじめ対策については全国の自治体で方針を統一すべきではないでしょうか?

 

いじめの発生リスクは、きっとどこの自治体でも変わらないハズ。
すでに積極的に活動を初めている自治体の取り組み内容を他の自治体にも横展し、
「日本全体、一丸となっていじめを撲滅しよう」
という空気感を作るべき時です。

 

将来に未知数の可能性を秘めた若い命がかかっている以上、
この問題に関しては遅れを取る自治体があってはならないのです。

各自治体のいじめに対する取り組み例

今のところ、自治体によって大きな温度差が生じているいじめ対策ですが、
対策が進んでいる自治体では、例えば次のような取り組みが行われています。
ここでは、その一部を取り上げてみましょう。

 

☆兵庫県川西市 「子どもの人権オンブズパーソン制度」
18歳未満の子どもに関する相談、擁護、支援、調査などを行う目的で設置された
第3者救済機関です。
例えば、自殺を予告する電話をかけてきた子どもに対するフォローで
自殺を食い止めたなどの成功実績があります。

 

 

☆長野県教育委員会 「いじめを見逃さない長野県」
知事と教育委員長の連名で「いじめを見逃さない長野県」を宣言。
いじめの件数把握だけではなく、各学校で取り組んでいるいじめ対策についても調査。
99個の取り組みを抽出。
例:
・校内の空き教室に親が常に常駐。子どもたちの身守りを行う
・教師〜生徒間の交換ノートを実施。内容から、生徒の人間関係や気持ちを読み取る
・教員全員でいじめの事実を徹底調査→加害生徒への指導に当たる。

 

 

☆群馬県教育員会 「警察との連携指導」
警察OBを嘱託員として学校に常駐させる取り組みをスタート。
非行や暴力などの問題行動の解決、校内の身守り、直接指導などに当たる。

 

 

☆徳島県 「いじめ予防教育」
鳴門教育大学が開発した「予防教育プログラム」を、
県内30校の小中学校で実施。
子どもたちのソーシャルスキルの醸成や自信の育成を図る。

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