いじめゼロを目指して

いじめの次は体罰問題!?

いじめによる自殺事件が社会的な問題となった2012年。
そして、明けて2013年。
今度は、教師による「体罰」の問題が世間を騒がせています。

 

発端となったのは、大阪市立桜宮高校2年の男子生徒が、
バスケットボール部顧問の男性教諭(47)から
体罰を受けた翌日に自殺したという事件。
(具体的には、殴られていた)
学校側もそのような行為を黙認しており、
そうした指導が常態化していたことが明らかになったのです。

 

(とはいえ、この事件に関しては、
「体罰は自殺の直接の原因ではなかった(進学のことで悩んでいた)」
「厳しい指導であることは承知の上で入部していた」
「報道されているほど過度な暴力ではなかった」
…といった説もあり、真偽はナゾな部分が多いです)

 

また、高校駅伝の強豪校として有名な愛知県立豊川工業高校でも、
陸上部の監督を担当する男性教諭(50)が体罰をしていたことが発覚。
学校側の話によると、この監督の体罰をきっかけに、2012年4月以降、
部員2人が転校や退学をしており、
他にも部員10名への体罰が確認されているのだとか。

 

こうした事件を受けて、TVや新聞、雑誌等の各種メディアでは
さかんに「体罰」の問題を取り上げてその是非を論じているわけです。

 

「いじめを隠蔽していた学校」が、
「体罰を隠蔽していた学校」に置き換えられただけのような。
そんな印象すら抱いてしまうような報道が繰り返されているわけですが…。

 

教育に体罰が必要かどうかについては、人によって考え方も違うでしょうし、
状況によっても変わってくると思います。
「夜回り先生」としておなじみの水谷修氏が、
読売新聞(2013年1月28日朝刊)で
「教育は“心”にするものであって、身体に対してするものではない」
という趣旨のことをおっしゃっていますが、その一方で、
「いじめをした生徒に対しては、ビンタが心にガツンと利く。
人の痛みを自分の痛みのように分からせるには、体罰も必要」
…という意見もあります。

改めて、「体罰」について考える

教育現場で体罰を加えることの是非については
人の価値観によって様々な意見があることでしょう。

 

しかし、そもそも、「体罰」とは一体、なんなのでしょうか?
「罰」というからには、何かしら悪いことをしたから体罰を与えられるわけですよね。
しかし、今回の桜宮高校の例を見てみると、被害者となった生徒は
体罰を加えるに値するような悪いことをしているわけではありません。
キャプテンとして部員を引っ張っていく立場にあったというだけ。
「試合に負けたから」とか「試合でミスをしたから」とか言った理由で
“指導”の名の元に暴力を振るわれるというのは、
もはや「体罰」ではなく「いじめ」ではないでしょうか。

 

問題の教師は、
「強いチームをつくるためには体罰も必要」
…と発言したそうですが、それならば
このキャプテン一人を集中的に指導するのはおかしな話です。

 

『孫子の兵法』でも、“見せしめ”のために、
怠けていた女を殺してしまうエピソードが出てきますが、
今回の被害者は別に怠けていたわけではありませんよね。
そもそも、“罰”を受ける筋合いなんてないんです。

 

(この事件に関しては、
「本人が大学進学のために自らキャプテンに立候補した」
「体罰というよりは、キャプテンとしての重圧に悩んでいた」
「体罰を受けていたのはこの生徒だけではなかった」
「報道されているほど過度な暴力ではなかった」
…といった説もあり、報道を100%信じて良いかどうかは怪しい点もあります)

 

そういう意味では、この教諭のやった行為を「体罰」と表現すること自体が
ちょっと間違っているのでは…という気がしてしまいます。

 

もし、報道されているような暴力行為が事実であるなら、
これは、立派な「いじめ」です。

「体罰もいじめ」 対策法自民案

実際、自民党は、「いじめ防止対策基本法案(仮称)」の骨子案の中で
「教諭による体罰もいじめ」と位置付けています。
(2013年1月27日現在)

 

また、死亡や大けが、長期欠席を伴う「重大事案」については
隠蔽を防止するために
学校から市町村長らへの報告を義務化することにしています。

 

さらに、この骨子案では、いじめを

 

「児童、生徒に対して一定の人的関係にある者が行う
心理的、物理的な攻撃で、
児童らが心身の苦痛を感じているもの」

 

…と定義しています。

 

これまで、教師の暴力をなんでもかんでも
「体罰」という表現で片づけてきたわけですが、
こうした政府の動きを受けて、
「ここまでは体罰」/「ここからはいじめ」
…という境界線も明確になるのでしょうか?

 

いじめ問題→体罰問題と、
立て続きに起こった教育現場での重大事件を受けて、
政府もようやく、学校や教育委員会の「事無かれ主義」に
メスを入れる気になったわけですよね!

 

現状はまだ、「計画」=“口だけ”の状態ですが、
事件の真相解明も含めて、今後の政府の積極的な動きに期待したいところです。

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