いじめゼロを目指して

文部科学省のいじめ防止対策

大津市の中2男子生徒自殺事件をはじめ、
いじめによる深刻な事件が大きな社会問題となった2012年。
国や地方自治体など、行政も重い腰を上げたようです。

 

文部科学省では、2012年8月1日に「子ども安全対策支援室」を設置。
いじめをはじめ、子どもの安全に関わる省内の仕事を一元化しました。

 

また、9月5日には「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」を発表。
これまで対応を都道府県教育委員会などに任せていたいじめ問題ですが、
これからは文科省も積極的に関わっていく姿勢を示しました。

 

…つまり、学校で“何か”あった場合、
学校や教育委員会任せにするのではなく、
「国も協力してその原因究明に当たりますよ〜」
という意思表示のようなものですよね。

 

ちなみに、新設された「こども安全対策支援室」の担当業務としては、
公式HPに次のような内容がUPされています。

 

・「いじめの問題が背景にある自殺事案」への対応に関する支援
・「部活動等、教育指導中の事故」への対応に関する支援
・「不審者による凶悪事件」への対応に関する支援
・「甚大な被害をもたらした自然災害」への対応に関する支援
・その他学校において子どもの生命・安全が損なわれる危険性のある
 事態への対応に関する支援

 

【お問い合わせ先】
子ども安全対策支援室
電話番号:03−5253−4111(代表)

各自治体の対策はどうなっているの?

いじめが原因で、若者が次々と命を落とす。
これはもう、「それは教育現場の問題だから」と、
行政が知らんふりできるレベルではないでしょう。

 

行政主体の取組として、地方自治体でも様々な活動が始まっています。
例えば、兵庫県や和歌山県をはじめ、多くの教育委員会が
教員向けの「いじめ防止対策マニュアル」「いじめ対応ガイドライン」などを作成。

 

また、北海道や京都府の教育委員会のように、
「いじめ問題対策チーム」など専門の部署を設置した自治体もあります。
具体的には、生徒指導主事やカウンセラーを設置するようです。

 

一方で、茨城県教育委員会のように
「いじめ解消サポートセンター」を設置したという自治体もあります。
これは、いじめの早期発見・早期対応、
そしていじめの解消を支援していくための拠点としての役割を担うもの。
相談員を配置し、児童生徒・保護者・地域の人たちから寄せられた
相談や情報をもとに、いじめの解消に向けて取り組んでいくとのことです。
ホームページ上に「いじめなくそう!ネット目安箱」も設置されており、
自宅にいながらにして気軽に相談できる点も安心ですね◎

 

 

行政の取組み例 石川県

もうひとつ、行政のいじめ対策として話題になったのが、
石川県教育委員会の取組み。

 

石川県では、全ての公立学校に
「いじめ問題対策チーム」を常設する方針なのだとか。
大津の事件のように、
担任教師一人に任せきりにすることで生ずる悲劇もありますし、
担任が一人で問題を抱え込んで
にっちもさっちもいかない状況になることもあるでしょう。

 

そこで石川県では、いじめ対策のチームを教育現場に常設することによって、
教師が周囲に協力を求めやすい環境を整えようとしているのです。

 

根本にあるのは、
「いじめは、いつでも、どこでも起きる」
「担任教師の経験や資質次第では、的確に対応できないこともある」
…というスタンス。

 

一人で悩んでいるうちに解決が遅れ、救えるハズの命を救えなかった…
という悲劇を繰り返さぬよう、
学校がチームプレーで動く体制や仕組みを作っていこう
という非常に前向きな取り組みなのです。

 

ちなみに、チームを構成するメンバーは、
弁護士や医師、元教師、元警察官…など、各分野のエキスパートたち。

 

全国に先駆けて行われるこうした取組みが、
自治体の垣根を超えて広く日本全体に普及することを期待したいですね。
(その前に、まずは効果が気になるところですが…)

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