いじめゼロを目指して

保護者の教育能力が低下しているという現実

生まれる瞬間から、長い時間を一緒に過ごす相手。それが、親です。
ゆえに、必然的に、親の教育の在り方や家庭生活は
良くも悪くも、子供の心身に様々な影響を与えます。

 

いじめに関しても、然り。
家庭環境に問題があると、フラストレーションがたまってイライラしやすくなったり、
自己中心的で友達の気持ちを考えられなくなったり、
自分の思うようにならないことがあると癇癪を起こしたり…と、
学校での集団生活にも様々な支障をきたすようになってしまいます。

 

近年は、核家族化が進んだことも手伝って
子供が親以外の人間と接する機会が減っています。
兄弟がいない子供も増えているので、
ケンカをしたり仲直りをしたりする術を知らずに育つ子供も多いのです。

 

かつては祖母や祖父がフォローできていた部分も保護者が一人で背負うことになり、
そのため、教育の質が落ちたのではないかと指摘する専門家もいます。

 

しかし、その一方で、
親の過保護や過度な期待が子供の心を蝕んでいるのではないかという声もあります。

 

いずれにしても、家庭環境を見直すことは
いじめの芽を摘み取る上で非常に大切なことです。

家庭にどんな要因があるのか?

いじめの原因として家庭環境の問題を疑われる場合、
どのような要因が考えられるのでしょうか。
ここでは、いじめにむすびつきやすい家庭内の問題をピックアップしてご紹介します。

 

・家庭内における人間関係のこじれ(母子、父子、夫婦、兄弟、嫁姑)
・家族との死別
・家族の病気(介護を含む)
・親の単身赴任
・過度な愛情注入、溺愛
・子供への過度な期待からくる過干渉
・支配的な養育態度
・親の退職、転職
・親の離婚
・転居
・兄弟の心理的問題(不登校、家庭内暴力)

 

…子供は、大人が思っている以上にデリケートです。
大人にとっては些細な出来事でも、子供は深いダメージを負っているケースもあります。

 

子供の様子がおかしいな、もしかしていじめかな?と思ったら、
まずはここ数カ月の家庭内の出来事を振り返ってみましょう。

 

家庭環境に問題があると疑われるケース

家庭内に起こった出来事が原因でいじめが起こる場合、
その子供にはどのような変化が表れるのでしょうか。
ここでは、家庭内の要因が子供に与える影響について見ていきましょう。

 

◆攻撃的になる
家庭内不和などを見ている子供は、自ずと、
人を罵る言葉や人を傷つける態度を学んでしまうもの。
学校でも、気に入らないことがあると相手に対して攻撃的になったり、
口汚く友達を罵倒したりするようになります。
それは全て、家族を見て学んでいることなのです。

 

◆フラストレーションの蓄積
家庭内に問題があると、子供は我慢をしてしまい、
“子供らしく”自分の気持ちを表に出すことができなくなってしまいます。
特に、母親の重すぎる愛情は、時に子供を疲弊させます。
そこで内側に溜め込んだフラストレーションやストレスが、
暴力や暴言といった形で他の子供に向けられる可能性があります。

 

◆コミュニケーション能力の欠如
家庭内に病気の人がいたり、兄弟が問題を抱えていたりする家庭で生活していると、
気持ちが萎縮してしまい自分の気持ちをうまく伝えることができなくなってしまいます。
そのため、嫌なことをされても「嫌だ」と言えなかったり、断れなかったり、
人に相談できなかったり…と、いじめのターゲットにされやすくなってしまいます。

 

 

参考:
広田照幸 『日本人のしつけは衰退したか』 講談社現代新書 1999

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