いじめゼロを目指して

誰を対象にして勉強会を開くか?

「いじめを防止するために勉強会を開く」という場合、その勉強を
「いつ開くのか」
「誰を対象に開催するのか」
…がポイントになってきます。

 

いじめ問題がすでに起きていて、その対応策を検討するために開くのか、
または、いじめ問題が起きる前の予防対策を講ずるために、
あくまでも“教育”や“啓蒙”の一環として開くのか。

 

また、教職員のみを対象に開催するのか、児童生徒を教育するために開くのか、
保護者もまじえるべきなのか…。

 

「いつ」「誰に向けて」行うのかによって、
勉強会の内容や開催する意味は大きく変わってきます。

いじめを予防するための勉強会のポイント

★教職員に対して
いじめを予防するためには、いじめについての“基礎”を学んでおく必要があります。
すなわち、このサイトで取り上げているような、
「いじめの種類」や「いじめの原因」、「集団いじめの構造」、
「被害者および加害者への接し方のポイント」…等々。
勉強会では、まずこうした基礎を学ぶことから始め、そこから発展して、
実際のいじめ事例を取り上げての事例検討や意見交換につなげていきます。

 

さらには、実際に「いじめが発生した」という状況を想定して、
「被害者・加害者生徒にどう接するか」
「保護者に対してどう接するか」
ロールプレイングなどを交えながら実践的な対応法を身につけていきます。
実際に深刻ないじめ問題が起こった学校でどのような対処法をとったのか、
また、いじめ対策が進んでいる学校の取り組み事例などを取り上げて
自分の学校で横展できる内容がないかどうかを検討するというのも有意義ですね。

 

ワークショップ形式で教師自身のいじめ体験を告白し合う
というのも、一つの案でしょう。
工夫次第ではかなり密度の濃い内容にすることができそうです。

 

 

★児童生徒に対して
児童生徒に対して行う勉強会としては、
学校によって様々な取り組みが行われているようです。

 

例えば、「どういう行為がいじめに該当するのか」、
判例文を使って学ぶという鹿児島県いちき串木野市立串木野中学校の取り組み。
判例を参考に、周囲はどのように対応すべきだったのか、
自分ならどうしていたかを話し合います。

 

また、群馬県高崎私立倉渕中学校のように、
人権についてのテーマ学習を継続的に実施している学校もあります。

 

さらに、実際にあったいじめトラブルを題材にして
ロールプレイを通して仲裁の手法を学ぶという勉強会を行っている学校もあります。
(大阪府寝屋川市立池田小学校)

 

これらの勉強会に共通していることは、教師からの“押しつけ”ではなく、
あくまでも子供たちの主体性に重きを置いた勉強会であること。
自分たちで話合い、
自分たちで解決策を見つけていくトレーニングを積むことが、
実際のいじめ対処の場面でも生きてくるのです。

いじめ問題が起きてから開く勉強会のポイント

★教職員に対して
実際にいじめ問題が起きてから開催する勉強会では、
最終的にはなんらかの“結論”、
学校としての“方針”を出す必要があります。
単なる知識吸収の場ではないことを認識した上で臨んでもらわなければなりません。

 

いじめ問題の当事者である子供のクラス担任は、事前に資料を用意した上で、
どのようなことについて話し合うのかを管理職(校長や教頭)と
打ち合わせをしておくべきです。
そうでなければ、結論が出ないまま勉強会が終わってしまうことになり兼ねません。

 

できれば、いじめ問題について詳しい人、例えば経験豊富な管理職経験者や
生徒指導のプロ、教育相談のプロなどを招き、事態を客観的に分析してもらい、
今後の対応について建設的なアドバイスをもらえることが望ましいでしょう。

 

 

★児童・生徒に対して
いじめ問題が起きた時、子供たちは、
恐ろしいほど冷静な目で教師を見ているものです。

 

先生はいじめ問題をどう捉えているのか、
被害者や加害者に対してどう接するのか?

 

…その様子を見て、安心感を覚える子供もいれば、
逆に学校や教師に対して不審感を募らせる子供もいるでしょう。

 

勉強会の際は、教師が今回のいじめ問題についてどう考えているのか、
学校側としてどのような態度で臨むのか、真摯に伝えることが大切です。
(“根回し”という言い方はちょっとニュアンスが違いますが、
できれば、事前に生徒会の生徒と打ち合わせの場を持ち、
勉強会の内容や流れを握っておくと良いでしょう。
生き当たりばったりの勉強会では、
伝えたいことが子供たちの心に響かない可能性もあるからです)

 

★保護者に対して
保護者に対しての勉強会も、注意すべきポイントは
児童・生徒向けの勉強会と大きくは異なりません。

 

基本的には、学校側がどう考えているのか、学校としてどう対処していくのか
そのスタンスを率直に伝えることが大切です。
学校側の考えについて、保護者の理解と協力を求めることがこの勉強会の目的。
教師だけではなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、
専門的な知識を持った第3者にも出席してもらえれば、
保護者側と学校側が対立するような事態も回避できるでしょう。

 

参考:
読売新聞 「教育ルネサンス いじめと向き合う 8」 2012年10月31日朝刊
読売新聞 「教育ルネサンス いじめと向き合う 11」 2012年11月3日朝刊
読売新聞 「教育ルネサンス いじめと向き合う 12」 2012年11月8日朝刊
菅野純・桂川泰典 『いじめ 予防と対応Q&A』 明治図書 2012

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