いじめゼロを目指して

いじめ=仲間意識の確認?

本当はいじめ行為に関わりたくないのに、
立場的に、いじめ加害者に加担せざるを得ない。
…そんな複雑な気持ちでいじめに関わっている子供たちも多いことでしょう。

 

いじめには様々なパターンがありますが、中でも「集団のいじめ」の場合は、
その集団内での「仲間意識」の呪縛にとらわれているケースがほとんど。
バッサリと言いきってしまえば、
「アイツは仲間ではない」
と判断されるような“隙”を見せた人間がいじめのターゲットになるわけです。

 

そして、そのいじめゲームに参加するかorターゲットをかばうかどうかは、
仲間意識を確認するために「踏み絵」のようなものなのでしょう。
その結果、外から見ただけではいじめの中心(加害者)が見えないまま、
クラス全体で誰か一人をいじめている…という構図になりがちなのです。

 

歪んだ仲間意識が存在している限り、
いじめ行為に対して注意する人間は出てこないでしょう。
すると、中心人物は図に乗ってますますいじめをエスカレートさせる。
…そうしている間に、最初は罪悪感を覚えていた人間まで、
いつの間にかいじめ行為を面白がって自分から手を出したりし始める…。

 

こうした負の連鎖が、いじめを最悪の結果に導くのです。

目には見えない、歪んだ“仲間意識”

クラスの中でいじめ問題が起こった時、ともすれば大人たちの注意は
加害者と被害者に集中してしまいがちです。

 

しかし、周りで見ていた傍観者たちの存在も軽視すべきではありません。
歪んだ“仲間意識”によって結ばれた彼らは、
第二、第三のいじめ事件の加害者になり得るからです。

 

というのも、傍観者たちの中には、
ひたすら報復を恐れて傍観している人間のみならず、
内心ではやられて苦しむ被害者を見て面白がっている人間もいるからです。

 

「自分たちの仲間の一人がいじめられている! なんとかして助けなければ」
…という方向に働く仲間意識ではなく、
「誰かがやられている。いいゾ、もっとやれ!」
…という歪んだ仲間意識によって結ばれているため、
いじめを止めさせるどころか
かえってエキサイティングしているというケースも少なくないでしょう。

 

こうした歪んだ仲間意識は、まとまりの悪いクラス、
連帯感の欠けたクラスに生じやすいと言われています。

 

また、「誰が勉強ができて誰ができないのか」
という“序列”が分かりやすいクラスも、
いじめが起こりやすい傾向があるそうです。

 

大人の社会でもよく見られる現象ですが、分かりやすい序列ができてしまうと、
上層は下層を見下し、下層はさらにその下の最下層を蔑みます。
そんな環境では、暖かい仲間意識など生まれるハズがありません。

 

結果として、“できが悪い”という隙を狙われた子供が
いじめのターゲットにされるわけです。

健全な“仲間意識”がいじめを減らす?

ここまで、「歪んだ仲間意識がいじめをエスカレートさせる」
という考え方をベースに話を進めてきましたが、
逆に、「健全な仲間意識があればいじめがなくなる」という意見があるのも確かです。

 

“健全な仲間意識”とは、例えば、
クラスみんなで息を合わせて体育祭で優勝した時や
合唱コンクールで最高の“ハモり”を感じた時、
全員参加で作成した“出し物”がクラス対抗で優勝した時…
何かを「みんなでやり遂げたゾ!」という時に実感しやすいもの。

 

つまり、そういった達成感を感じにくいクラスでは、
仲間意識も感じにくいと言えるのかもしれません。

 

全てに対して、
「自分は無関係」
「自分はここには属していない」
「他の人のことなんてどうでも良い」という、
いわゆる“傍観者意識”を作り出してしまう環境を変えない限り、
クラス内でのいじめは根絶できないのではないでしょうか。

 

そう考えると、「クラスの連帯感を高めて仲間意識を醸成する」というのも
クラス担任の大切な役割の一つと言えるでしょう。
能力のある、いわゆる“デキる生徒”ばかりが活躍する、目立つクラスでは、
不満分子も生まれやすいようです。

 

しかし、競争主義の要素を全く排除してしまうと
今度は怠惰な方向に流れて努力を怠る生徒も出てきてしまいますし、
そもそも、生徒にも個性があるわけですから、
40人中40人全員が満足するクラスづくりというのは
不可能と言っても過言ではないでしょう。

 

教師が心がけるべきことは、とにかく

 

・常に冷静にクラスを観察・分析すること
・一人一人の生徒に対して、“一人の人間として”真摯に向き合うこと
・問題の本質を見失わない客観性を保つこと

 

そして、「自分自身もまた、クラスの仲間の一人だ」
という仲間意識を持つことに尽きるのではないでしょうか。

 

参考:「児童心理」,46,9,33-37,

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