いじめゼロを目指して

2012年 いじめ事件の動向

大津市の中学2年生がいじめを苦に自殺した事件が世間を騒がせた2012年。
「いつも、なにかあってから動くのね…」という感がしないでもないですが(笑)、
この事件を受けて、文部科学省はいじめ件数の把握調査に乗り出しました。

 

その結果、2012年4月〜9月までに把握できているいじめの件数は、
全国で144,054件に上ることが判明。
これは、2011年4月〜3月の1年間の発生件数の倍以上なのだとか!
1,000人あたりの平均把握件数は10.4件で、
これも2011年度(4月〜3月)の2倍なのだそうです。

 

※内訳の詳細は、下記の通りです。
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小学校: 88,132件
中学校: 42,751件
高校: 12,574件
特別支援学校: 597件

 

いじめの内容
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・悪口や脅し文句を言われる 77%
・仲間外れや無視をされる 36%
・遊ぶフリをして叩かれたり殴られたりする 35%
・ひどく叩かれたり蹴られたりする 21%
・危険なことをしたりさせられたりする 20%
・金品を盗まれたり捨てられたりする 17%

 

とはいえ、たった1年の違いでそこまでいじめ発生件数が激増するとは
ちょっと考えづらいことですよね。
おそらく、今回の事件を受けて、今までは報告していなかった
軽微な事案についても学校側が報告するようになったのでしょう。

 

しかし、「生命または身体の安全が脅かされるような重大事案」と捉えられる
深刻ないじめのケースが増えていることもまた事実です。

重大事案が278件!

いじめのうち、「生命または身体の安全が脅かされるような」例は、
「重大事案」として特別にカウントされています。

 

今回(2012年4月〜9月)の調査では、そのような深刻な事案が
278件あったことが報告されています。

 

では、重大事案とはどのような内容のいじめ行為なのでしょうか?
具体的には、次のようなケースが挙げられます。

 

・持ち物を壊されたり、馬鹿にされたりといった行為がエスカレートし、
暴力を受けるようになった。それがきっかけで自殺を考えるようになった

 

・持ち物に対するいたずらなどを受け、ストレスで突発性難聴を発症した

 

・加害者生徒からの強要でけんかをしたところ、ケガをして入院した

 

・いじめを苦に自殺をほのめかすようになった

 

上記はあくまでも一部の例ですが、データとしては

 

「冷やかしやからかい」が57.6%、
「ぶたれたり蹴られたりといった暴力」が37.1%、
「危険なこと、犯罪行為の強要など」が26.6%

 

…という内訳。
実際に命を落とすほど深刻なケースは報告されていないものの、
警察との連携が必要と判断されたケースは全体の4割にのぼるといいますから、
事態は結構、深刻。
今後は、明確な対応基準の制定などが求められるでしょう。

 

参考:
読売新聞 2012年11月23日朝刊

この調査結果から言えること

今回のいじめ把握調査の結果からどのようなことが言えるのでしょう?

 

まず一つ、筆者が感じたことは、
「件数把握ってあんまり意味がないのね〜」
ということ。
社会的に問題になった時だけ件数が激増するということは、
普段は、「いじめを把握しよう」という意識が薄いということですよね?
何もない時から本気で取り組んでいれば、把握件数にここまでの差は出ないハズです。

 

しかも、自治体によっても把握数にかなりの差があるのだとか。
鹿児島県だけで全国の2割を占めているのも、ちょっと疑わしいですよね。

 

そういう意味で、今回の調査結果については、
数字自体はあまり当てにはならないのではないか…という印象です。

 

…その一方、教育現場の方々に襟を正してもらうという意味では、
こうした調査は非常に有効であるとも言えるでしょう。

 

「ちゃんとやらなきゃっ」と思って調査するから、数字が増えるということですよね?
定期的にこうした機会を設けなければ、本気で調べてくれない。
数字だけ見れば、そう思われても仕方がありません。

 

重大事案の基準づくりや対策を含めて、
国全体のいじめ問題対策の在り方を
根本から見直すべき時期にきているのではないでしょうか。

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