いじめゼロを目指して

アメリカとの比較

日本では深刻な社会問題として広く認知されている“いじめ”ですが、
海外ではどうなのでしょうか?

 

日本と違って、自分の意見をハッキリ口に出すことや
“個性”がしっかり認められる文化が根付いた国が多いという印象から、
海外では日本ほど陰湿ないじめは起こらないようなイメージがありますが…。

 

しかし、実際には、海外でも無視や仲間外れといった
陰険ないじめが存在しているようです。

 

例えばアメリカ。
それぞれの個性を重視するお国柄ではありますが、
「グループとしてどんなことに価値を置くか」
ということを非常に重要視するのだとか。

 

その結果、属しているグループの価値観に同調しない人は
そのグループからはじかれてしまうことがあるようなんですね。

 

日本のように、「空気が読めない(KY)」といった
“性格上の問題”でいじめの対象にされることは少ないようですが、
グループの価値観に縛られるというのも窮屈そうです(泣)

 

自由の国・アメリカにもそんな傾向があるわけですから、
「みんなで足並みをそろえるのが一番!」
「我は出し過ぎない方が良い」
…という考え方が強い日本でいじめが多いのも納得がいきますよね。

いじめ対策先進国・フィンランドの現状

海外諸国の中でも、いじめ対策の推進国として知られているのがフィンランドです。
フィンランドでも、1990年代には日本と同様にいじめによる深刻な事件や
自殺問題などが相次ぎ、メディアを騒がせていたようです。

 

そこで政府がとった対応策は、
「法改正によって各学校のいじめ対策の行動計画策定を義務づける」
というものでした。

 

とはいえ、学校ごとにイチからプログラムを作成するのは
膨大な時間と労力が必要となります。

 

そこで、2009年から統一的ないじめ防止プログラム「KiVa(キバ)」を導入。
これは、トゥルク大学のクリスティナ・サルミバリ教授が
政府の依頼を受けて開発したプログラム。
いじめについて授業形式で学ぶ「KiVaレッスン」と、
コンピューターゲーム形式の「KiVaゲーム」があり、
小学校1年、4年、中学1年向けの3種類が用意されています。

 

★KiVaレッスン
90分/回の授業を月に1回、年間合計10回行います。内容としては、
「仲間意識からくる心理的圧力」「尊敬の念」などの“感情”に焦点を当て、
いじめを防止するために自分がどう行動すべきかを学んでいきます。

 

★KiVaゲーム
実際にいじめが発生したことを想定し、
その時の対処法をゲームを通じて学んでいきます。
(例:傍観者にならない方法 など)

 

統一プログラム「KiVa」の効果はいかに?

いじめ対策推進国として海外諸国から注目を集めているフィンランド。
そんなフィンランドで導入された「KiVaプログラム」は、
いじめ防止に確実な効果を上げているようです。

 

具体的には、このプログラムを導入して9カ月後のいじめ被害報告件数が
導入していない学校と比較して約2割も低かったのだとか。

 

また、生徒の不安感や抑うつ傾向も有意に低く、
子供たちのココロにもプラスの効果をもたらしていることが示唆されたのです。

 

加えて、面白いのは、学校側の対応にも変化が表れていること。
以前は「うちの学校ではいじめはない」と主張する校長が多かったのに対して、
KiVaプログラム採用後はいじめの事実を認める傾向が多くなり、
具体的な対応についても明確に報告する学校が増えたのだといいます。

 

近い将来、日本でもこうした統一プログラムが浸透すれば、
痛ましい事件を未然に防げるようになるのではないでしょうか。
今後に期待したいところです。

 

読売新聞 「教育ルネサンス いじめと向き合う 17」 2012年11月16日朝刊

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