いじめゼロを目指して

教師自身の体験を共有する

教師だって一人の人間です。
子供時代は、いじめたり・いじめられたり・いじめを見たことがあったり…
といったいじめ体験があるハズ。

 

実はその体験こそが、いじめ対策に役に立ったりするものです。
そこで、いじめ防止研修会などでは、
しばしば教師自身のいじめ体験を元に話合いを行う場が設けられたりします。

 

例えば、誰が見ても“いじめっこタイプ”にしか見えないような教師が
実際にはひどいいじめで不登校になりかけた経験を持っていたり、
控え目でおとなしそうな教師が、子供の頃はいじめっこだったり…。

 

「付き合いが悪いな」と思っていた教師が、
実はいじめ被害を原因に人間不信気味に陥っていたり。

 

「いつも元気で明るいな」と思われていた教師が、本当は
「またいじめの標的にされるのではないか」という恐怖心から
過度に明るく振る舞っているだけだったり…。

 

こうした意外性のあるカミングアウトは、教師間の相互理解にもつながります。
お互いの背景を理解することは、
いじめ問題についての“認識の違い”を受け入れる上でも
非常に意味のあることです。

グループ討論の意義

教師を対象とするいじめ防止研修会では、数人のグループに分かれて、
自分の“いじめ・いじめられ体験”について議論する時間が持たれます。

 

そこでは、単に体験を告白し合うばかりではなく、
「いじめられた時、どう感じたか」
「教師はどういう対応をしたか。また、それに対してどう感じたか」
「教師はどう対応すべきだったのか」
「今の自分ならどう対応するか」
…といった、“今後のいじめ対策につながる”ような意見交換を行います。

 

もちろん、いじめた側の教師の体験も非常に参考になるでしょう。

 

「なぜいじめてしまったのか。また、その時の気持ちは?」
「自分の行為がいじめだと気付いたのはいつか」
「その時、教師はどう対応したか」
「教師はどう対応すべきだったのか」
「今の自分ならどう対応するか」
「今、いじめ行為を行っている生徒に何を伝えたいか」

 

…いじめられた経験を持つ教師にとっては
加害者側の体験談の中には腹が立つような話もあるかもしれませんが、
双方の立場の主張を知っておくことは
今後のいじめ対策を推進していく上で必ず役に立つハズです。

 

体験を実践に生かすには

クラス担任の中には、
「いじめ問題にどう対処したら良いのかわからない」と、
戸惑いを感じている教師も多いようです。

 

しかし、実際のところ、その知恵は教師自身の中にしっかりと根付いているもの。
自身のいじめ・いじめられ体験を掘り起こしてみれば、
いじめを行うほうの気持ちも、いじめられる側の気持ちも見えてくるでしょう。

 

教師向けのいじめ防止研修には、
こうした“気付き”を促すという意味もあります。

 

「そういえば、当時は先生に一方的に責められて辛かったな」
「今度は自分がターゲットになるんじゃないかと思って、毎日怖かったな」
「あの時の先生の言葉は心に染みたな…」
「いじめていた子が学校を休んだ時、すごくショックだったな」

 

…他の先生とのグループ討議を通じて当時の自分を思い出し、
そこから、今目の前で起こっているいじめ問題解決のための糸口をつかむのです。

 

いじめ問題は、上っ面だけの理解で解決できるほど単純ではありません。
教科書的な知識よりも、
教師自身の骨身にしみついた過去の経験こそが本当の意味で役に立つのです。

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