いじめゼロを目指して

いじめっこの心理的特徴

いわゆる“いじめっこ”と呼ばれる子供たちも、
決して理由もなくいじめを行っているわけではありません。
本人が意識できている・できていないに関わらず、
そこにはなんらかの理由があるのです。

 

その理由を理解する上でも、いじめっこの心理について知ることは非常に大切なこと。
いじめっこには、どのような心理的特徴があるのでしょうか。
この特徴を分析・理解することは、いじめ予防教育の質の向上にもつながります。

 

いじめっこの心理的特徴としては、主に次のような点が挙げられるでしょう。

 

★共感性やコミュニケーション能力が未熟★
相手の心理を想像する力が未熟だと、
自分の言動が相手をどんな気持ちにさせるかが分かりません。
そのため、他の子供に乱暴な言葉を投げかけたり
「貸して欲しい」と頼めば済むところを、承諾もなく持って行ってしまったり。
また、自分の気持ちを表現することも苦手なので、
好意の裏返しで相手をぶってしまったり、強引なやり方で誘ったり…と、
なにかと誤解を受けてしまうのです。

 

 

★自己正当化して自分をごまかす★
「○○さんが△△したから悪いんだよ」「僕以外のみんなもやってたよ」
「いじめてたわけじゃなくて、ただ遊んでいただけ」
…こうした理由を並べて自己正当化するいじめっこは、
本当は自分が悪いことをしたということを自覚できているようです。
しかし、その事実を認めてしまうと自分にとって都合が悪いために、
なにかと理由をつけて自己を正当化し、いじめを続けるのです。
「自分を肯定したい」という欲求の表れでもありますが、同時に、
「自分に自信がない」「自分が認められていない」
という焦りの表れでもあります。

 

 

★自己防衛意識が強い★
いじめっこの中には、自分を守るために仕方なくいじめ行為を行っているタイプもいます。
このタイプの心理は、結構複雑。
例えば、過去にいじめられた経験があり、それがトラウマになって
「今度はいじめられないように、自分を強く見せよう」という心理が働いて
他者をいじめることで自分を大きく・強く見せようとしているのかもしれません。

 

家庭環境が心理面に与える影響

些細なことでキレたり、誰かれ構わず周囲に当たり散らしたり…
といった行為が目立ついじめっこは、家庭内に問題を抱えている可能性が高いです。

 

家庭環境が子供の心理に与える影響は、大人たちの想像を遥かに超えています。
子供って、大人が思うよりもずっと大人のことをよく見ていますし、
微妙な空気の変化も敏感に感じ取っているものなんですよ。

 

例えば、家庭内の人間関係に不和があったり、親が過度に過干渉だったり、
兄弟が不登校だったり家庭ない暴力があったり…
こうした家庭環境に置かれていると、子供は心理的に強い不安を感じてしまいます。

 

その結果、自分の攻撃性をコントロールできなくなってしまったり、
思うように自分を表現できなくなってしまったりするのです。

 

いじめっこの様子が極端に変化した場合は、
その背景にある家庭環境のトラブルを疑ったほうが良いでしょう。

 

行為障害との関係

心理的になんらかの障害を抱えているためにいじめっこになってしまう子供もいます。

 

その最たる例は、「行為障害」
1997年に神戸で発生した「酒鬼薔薇聖斗事件」の犯人として知られる少年は、
重度の行為障害であったことは大きな話題となりました。
(もっとも、この少年のやったことは“いじめっこ”という範疇を超えていますが)

 

行為障害の診断基準は次の通りです。

 

【行為障害(DSM-W)】
・しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する
・しばしば取っ組み合いの喧嘩をはじめる
・他人に重大な身体的危害を加えるような武器(ナイフ、バットなど)を
使用したことがある

・人に対して身体的に残酷行為をしたことがある
・動物に対して残酷行為をしたことがある
・強盗、ひったくり、強奪などの経験がある
・性行為を強いたことがある

 

 

こうした心理的な症状を持つ子供たちは、
優しくされたり甘えたりという経験が少なかったり、
情緒的な触れ合いが希薄だったり…と、
育つ過程でなんらかの共通点があるようです。
(※行為障害についてはまだ分からないことも多く、
全てが家庭環境のせいだと決め付けることはできません。)

 

 

いずれにしても、いじめっこの中には、不安感や恐怖感を抱えている子供もいます。
その不安をどうやって処理したら良いのか分からず、
それが他者への攻撃性となって表れているケースが非常に多いのです。

 

いじめっこの心理的サポートとして必要なのは、
その心理面の問題をうまく解決してあげること。
そして、自分を肯定してもらえることの安心感や、
人を信用できることの心強さを教えてあげること。

 

いじめっこ=処罰すべき対象と一方的な見方をせず、
いじめっこにこも被害者と同じように
深い愛情や思いやりをもって接するべきではないでしょうか。

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