いじめゼロを目指して

件数は減少、しかし手口は巧妙化

小学校〜中学校と高校とでは、どちらがいじめの件数が多いかご存知でしょうか?

 

文部科学省の調査によれば、小学校は36,909件、中学校は33,232件、
そして高校は7,018件なのだそうです。(平成22年度の認知件数)

 

2012年に至っては、4月〜9月までの半年間で小・中・高合わせて
14万4,054件のいじめが把握されています。
(うち、小学校88,132件、中学校42,751件、高校12,574件)
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1000人あたりの平均把握件数は、10.4件。
2011年度1年間の5件と比較すると、2倍にまで増えています。
(※自治体の調査方法による差異あり)

 

筆者としては、この結果は予想通りでした。
自分が高校生だった頃を振り返ってみても、
大学受験でいじめどころではなかったという記憶がありますので…(笑)。

 

しかし、小・中学校よりも件数が少ないからといって甘く見てはいけません。
詳しい中身を見てみると、年齢が上がった分、いじめ方も巧妙です。

 

さすがに、物を隠したり壊したり、体操着を破ったり水をかけたり…
といったゲーム感覚の古典的ないじめはなくなってきます。
しかしその一方で、悪口や無視、携帯電話やPCを使ったネットいじめ、
万引きの強要…といった悪質ないじめが目立つようになってきます。

 

「やった」「やられた」という次元のいじめではなく、
相手の人格・人間性を土足で踏みにじるような種類の嫌がらせも多くなりますので、
高校でのいじめは被害者の心的ダメージも大きいのです。

 

特徴は、傍観者が増えること

高校のいじめでもう一つ特徴的なのは、「集団 対 一人」といういじめの構造が変化し、
「自分もやられるかもしれないから」「○○が怖いから」
といった理由で加害者に加わる生徒が少なくなります。

 

しかし、だからといっていじめに遭っている被害者の味方になるわけではありません。
あくまでも、「自分は関係ない」という傍観者のスタンスを貫こうとします。

 

場合によっては、「いじめられるほうにも原因はあるよね」
…と醒めた目で客観視していることもあり、
わざわざ教師に報告することはほとんどないでしょう。

 

そのため、クラス全員が加害者になりがちな中学生のいじめに比べると、
教師側から見て発見しにくい傾向があるようです。

 

そもそも、高校生になると大人に対する反抗心よりも不信感が強くなってくるので、
「どうせ何もしてくれないだろう」と、教師に対して一切の期待を持たず、
最初から諦めている節もあります。

いじめられる側のプライド

高校生になると、いじめられる側の心理も複雑な様相を呈してきます。

 

まず、驚くべきことに、
自分がいじめられているのは仕方がないことだと考える生徒が出てきます。

 

「自分は成績も悪いしデブだし、いじめられても仕方がない」
「自分には社会性がないから、人に嫌われるのも当然だ」

 

…このように考えて自分の世界に閉じこもる生徒は、
小学校や中学校の時代から継続的にいじめのターゲットにされているケースも多く、
自尊心が著しく低下していることが伺えます。
そのため、誰かに相談することもなく一人で色んな感情を飲みこんでしまうのです。

 

このような傾向は、高校時代のみならず
社会に出てからも多かれ少なかれその人の人生に影響を与えます。

 

自分自身をポジティブに受け入れられない人は、
ビジネスでも大きな成功は期待できないでしょう。

 

教師や親の対応としては、
被害者生徒のプライドを傷つけないよう最大限に配慮しながら、
その生徒の強みを伸ばしていくことが大切です。

 

「被害者に非がある」などとは決して言えませんが、
被害者側の意識や表情、態度が変化することで
これに伴っていじめの構造も変わっていくということはよくあることです。

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