いじめゼロを目指して

大津中学2年生自殺問題

1980年代から注目されはじめたいじめ問題。
2000年代に入ってからは、いじめを苦に自殺をする子供たちが相次ぎ、
深刻な社会問題として世間でも広く認知されるようになりました。

 

特に、2011年10月に滋賀県大津市で起こった「大津中2自殺問題」は、
TVや新聞でも連日報道され、学校教育や市の教育委員会の在り方が問われる
大きな事件へと発展していったのです。

 

この事件は、2011年10月11日に、大津市内の中学校に通っていた男子学生が、
自宅のマンションから転落死したことが発端となりました。
当初、中学校の校長は「いじめはなかった」
一貫して否定する姿勢を貫いていましたが、
市の教育委員会によれば、全生徒に対して行ったアンケートでは、
いじめがあったことが伺える結果が得られていたのだとか。

 

しかもその内容が、「学校で自殺の練習をさせられていた」といった
非常にショッキングな内容だっただけに、
世間でも大きく取り上げられるようになったのです。

 

当初はこのアンケート結果を中学校や教育委員会が隠していたことが発覚し、
その隠ぺい体質に世間の非難が殺到しました。

 

ついには、滋賀県警が学校や教育委員会の強制捜査に踏み切るなど、
いじめ関連の事件としては異例の展開をみせることになったのです。

 

中学校でのいじめの特徴とは

大津でのいじめ事件は、世間に大きな衝撃を与えました。
しかし、これは氷山の一角に過ぎないと指摘する声も多いのです。

 

文部科学省の調べによれば、ここ数年、
いじめ発生・認知件数は7万件を超えています。

 

2012年に至っては、4月〜9月までの半年間で小・中・高合わせて
14万4,054件のいじめが把握されています。
(うち、小学校8万8,132件、中学校4万2,751件、高校1万2,574件)
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1000人あたりの平均把握件数は、10.4件。
2011年度1年間の5件と比較すると、2倍にまで増えています。
(※自治体の調査方法による差異あり)

 

中学校でのいじめの最大の特徴は、小学校のような1対1のトラブルではなく
集団で個人を攻撃するようないじめが多いということです。

 

年齢と共に、人間は良くも悪くも周りと同調して集団行動ができるようになりますが、
これが悪い方向に作用すると、
一人が始めたいじめに他の生徒も同調するようになります。

 

きっかけは実に些細なことも多く、例えば、

 

「一人だけ文化祭の準備をサボったから」
「アイツが体育祭の足を引っ張るから」
「テストの点数を自慢したから」
「家が金持ちなことを鼻にかけているから」

 

…といった理由。
いじめる加害者側の言い分としては、
「被害者が悪い」「被害者に原因がある」ということになります。
つまり、自分の行為を自己正当化しているケースが多いんですね。

 

クラスの中で勢力を持つグループが「明日からアイツがターゲットだ」と決めてしまうと、
周りの人間もそれに同調して無視したりいやがらせをしたりといった手口です。

 

もし、被害者に味方をしようものなら、次はその人がターゲットにされ兼ねませんので、
心の中では罪悪感を覚えながらもいじめ加害者に加担している生徒も多いのです。
これがまるでゲームのように連鎖していくのが、中学校のいじめの特徴です。

 

「一緒に解決しよう」というスタンスが大事

中学校にあがると、小学生以上にプライドも発達してきます。
被害者はますます、いじめの事実を認めようとしなくなるでしょうし、
教師はいじめの事実に気付きにくくなるでしょう。

 

しかし、もしいじめの事実が発覚した場合でも、
安易な言動を取らないよう注意が必要です。

 

特に、「先生に任せろ」「守ってやるから安心しろ」…といった発言はタブーです。
なぜなら、この言葉は被害者生徒に無力感を与え、
ますますプライドを傷つけられてしまうからです。
あくまでも、「一緒に考えよう」「一緒に解決しよう」
というスタンスを取ることが大切です。

 

第一、たとえ教師が被害者と加害者の間に入って介入したとしても、それは、
「アイツは先生にチクッた。大人を味方につけるずるいやつだ」という風に見られ、
ますますいじめがエスカレートすることにもなり兼ねません。

 

いじめの相談を受けた・いじめの噂を聞いたからと言って、
すぐに加害者を呼びつけて注意を促す…といったやり方では、かえって逆効果!
まずは被害者生徒の意思を尊重し、とにかく話をよく聞いてあげること。
そして、その話を元に、
念入りにクラスの様子を観察して事実確認をすることが基本です。

 

参考:
読売新聞 『いじめ問題 多角的に』 2012年10月22日朝刊

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