いじめゼロを目指して

動物行動学的にみると…

誰かに対して攻撃性を持ってしまうということは、
少なくとも、その相手に対して“無関心”ではないということ。
「愛の反対は、“憎しみ”ではなく“無関心”だ」とよく言われますが、
相手に対する想いが強ければ強いほど、
プラスの感情もマイナスの感情も強く出てしまうわけです。

 

友情に関しても、同じことが言えるのではないでしょうか。
どうでも良い友達、全く関心がない友達は、
ハッキリ言って、どうでも良い存在ですよね(笑)。

 

好き、嫌い、憎い、傷つけたい…
そういう強い感情や攻撃性を持ってしまうのは、
その人との間に確かな「友情」が成立しているからこそです。

 

相手に対して何らかの感情を抱くということは、
それだけ相手の存在を気にかけているということ。
動物行動学の世界でも、

 

「個人的友情をむすぶ能力があって、しかも攻撃性をもたないという動物は、
まだひとつもしられていない」

 

…という有名な言葉があります。

 

つまり、友情が成立しているが故に攻撃性を持ちうるということ。
逆に言えば、攻撃性がない動物は
友情を生み出すこともできないということなのです。

 

女子に見られる“攻撃性”の特徴

一言で「友情」と言っても、男子の友情と女子の友情とでは
様々な違いがありそうですよね。

 

一般的には、
「女性(女子)の友情は当てにならない」
…とよく言われますが(笑)、本当にそうなのでしょうか。

 

ここでは、女子の友情と攻撃性について考察した
面白い研究内容をご紹介しましょう。
テキサス州立大学ダラス校の
マリオン・K. アンダーウッド博士が発表している論文です。

 

マリオン博士によれば、女子は
“暴力”という攻撃性を露呈することこそ稀であるものの、
対人関係(友情)を対象とした攻撃で相手を傷つけることが多いのだとか。

 

特に、仲間達から拒否されがちで、孤独や鬱、不安を訴える傾向が強い女子は、
友達に対して攻撃的な行動をとりやすい傾向にあるのだそうです。
例えば、言葉による仲間外れや、
友情を軸にして悪意のある噂を流したり…といった行為。

 

しかも、こうした攻撃的な行為によって受ける心の傷は、
男子よりも女子のほうが大きいのだといいます。

 

なぜなら、女子のほうが友達との「友情」を大切にする傾向があるから。
実際、筆者の子供時代〜これまでを振り返ってみても、
女子は友達との人間関係を気にする生き物だというのは強く実感しています。

 

友達が自分をどう思っているのか、こういう行動をしたらどう思われるのか。
服の選び方からトイレに行くタイミングまで、
女子は友達の目を気にするところがあります。

 

筆者はどちらかと言えば一匹オオカミ的なところがあるので、
そういう女の子同士の友情(…と表現して良いのかどうかは疑問ですが)に
かなり嫌気がさしていましたが。

 

どんな風に介入すべき?

では、友情ゆえに生ずる攻撃性に対しては、
(特に、それがいじめに直結しているような場合)
周りの大人たちはどのように介入するべきなのでしょうか?

 

少女達が友達に対して攻撃的になってしまうのは、
帰属感を確かめようとするからである」
という発達理論があります。
つまり、

 

「自分が仲間に受け入れられていることを確認したい」
「自分の存在を肯定してもらいたい」

 

…そういう思いがあるわけですよね。

 

要するに、一人ぼっちが不安なんです。

 

攻撃性を低減するためには、
彼女たちが「自分は受け入れられている」と安心できるような
温かい環境を提供することが効果的でしょう。

 

そのためには、クラス内のみならず、学年や学校単位、
地域単位で参加できる様々な活動を用意することが有効な手段の一つ。
クラス内の友情に囚われることなく、
自分が自分らしくいられる場所を見つけるきっかけを作ってあげることです。

 

それは、部活かもしれませんし、ボランティア団体かもしれない、
習い事のグループかもしれません。

 

そもそも、友情を軸とした攻撃性(いじめ)が発生する根本には、
「退屈」という理由があるという研究結果もあります。
退屈だから、それを紛らわすために友達をいじめる…。

 

退屈しのぎに友情をもてあそぶなんて、それこそ、時間の浪費です。
その攻撃性をプラスの“競争心”に昇華できるような取り組みを考え、
それを子供たちに提案するというのも、
大人たちができる「いじめ対策」の一つと言えるのではないでしょうか。

 

(しかし、大切なのはあくまでも子供たちの自主性を重んじること。
“押しつけ”になってしまうのでは意味がありません)

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