いじめゼロを目指して

そもそも、“攻撃性とは?

自分以外の人間に嫌がらせをしたり、暴力を振るったり、反抗したり…。
思春期ならずとも、子供にも大人にもよくある行動です。

 

実はこれらの行動の背景には、ある共通した感情が隠れています。
それは、自分の外側に向いている「攻撃性」
自分の思い通りにならないことへの不満や、自分を認めてもらえない不安、
怒り、苛立ちなどが、「誰かを攻撃したい」という感情につながっていくのです。
いじめは、この攻撃性が他者に向かって発せられる最もわかりやすい例です。

 

しかし、もともと「攻撃性」とは悪い意味ばかりを持つ言葉ではありません。
ドイツの社会心理学者として有名なエーリヒ・フロムによれば、攻撃性とは
「ある目標を目指して過度のためらいや疑いを持たずに前進すること」

 

つまり、本来は、目標に向かって勉強を頑張ったり、部活を頑張ったり、
仕事に精力を注いだり、旅行のためにコツコツ貯金したり…と、
非常に前向きでポジティブな意味を持つ言葉なのです。

 

攻撃性がいじめにつながる場合

攻撃性は、本来は決して人を傷つける方向にばかり働くものではありません。

 

しかし、少なくともいじめに発展する攻撃性は、
他者の心身を傷つけるという意味で「悪い方向に働く攻撃性」と言えるでしょう。

 

では、どういう場合に、攻撃性はいじめにつながってしまうのでしょうか。
例えば、次のようなケースが考えられます。

 

★自分の立場が脅かされる場合
「食うか・食われるか」の危機的状況に追い込まれた時、人は、
自分を守るためには他者を犠牲にしてしまうことがあります。
例えば、「相手をいじめなければ逆に自分がいじめられるかもしれない」
という危機感を感じているケースは最も分かりやすいでしょう。
また、「自分はこうしたいのに、相手がそれを認めてくれなかったから」…と、
自分の承認欲求が攻撃性につながる場合もあります。

 

 

★家族に対する不満感情が募っている場合
家族が自分のことを気にかけてくれない、家族が親身になってくれない、
家族に虐待されている…。
家庭内にこういった問題がある場合は、その不安や怒り、ストレス、攻撃性が
いじめという形で外(関係のない他者)へ向けられることがあります。

 

 

★支配欲や依存性が強過ぎる場合
仲の良い友達が他の子と遊んでいるのを見ると、ちょっと寂しくなる…。
こういう感情は、大人のみなさんも経験があるのではないでしょうか?
距離が近くなればなるほど、「相手を独占したい」という支配欲や、
「コイツには負けたくない」という競争心などが強くなってきます。
相手への想いが強過ぎるが故に、それが攻撃性という形で表れ、
いじめ行為につながってしまう場合もあります。

 

 

(例外)★病気に起因する場合
強迫性障害、気分障害、人格障害、アスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害
…こういった疾患の一症状として、他者に対して攻撃性が向けられることがあります。
※この場合は、専門的な治療が必要となりますので、いじめの議論からは外します。

 

攻撃性をコントロールにするには

いじめ行為に象徴されるような、いわゆる“不適切な”攻撃性は、
多くの場合は年齢と共に自分でコントロールできるようになっていきます。

 

実際、子供の頃は手のつけられないほどの悪ガキ・いじめっこだった人が、
同窓会で再会したら見違えるようなジェントルマンになっていた…!
ということもよくある話ですよね(笑)。

 

攻撃性が強く、自分でコントロールできない子供に対しては、
「今、自分は何に対してそこまで怒っているのか」
「自分の行動で相手がどう感じるか」
…を、客観的に観察できるようにトレーニングすることが効果的です。

 

具体的には、ノートに自分の感情を書き留めて整理してみる方法がおススメ。
そのノートを、後で担任の先生や親が確認して、
「どう行動すれば良かったのか」を一緒に考えていくという練習をすると良いでしょう。

 

参考:
E.フロム 『破壊-人間性の解剖』 紀伊国屋書店 1975

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